水霊(みずち)

昔むかし、あるところに、イザナギ(♂)と、イザナミ(♀)という神様がおりました。
二人はとても仲がよく、次々と神様を産み落としていきました。
ところが、ある時、火の神様を産んだ際、イザナミが大火傷を負ってしまい、
それが原因で亡くなってしまったのです。
イザナギはとても悲しみました。
あきらめきれないイザナギは、黄泉の国へイザナミを迎えにいったのです。
でもその時イザナミは既に黄泉の国の食べ物を口にしてしまい、戻れない身体に・・・
それでも尚もあきらめきれないイザナミは、
「では、黄泉の国の偉い人にお願いに行ってきます。お願いですから、
後に付いて来ないでください。」
と言って、奥に消えていきました。
・・・・・・
待てども待てども帰ってこないイザナミ
痺れを切らしたイザナギは、お約束どおり、後を追って奥へと進んでいきます。
なんとそこには、体中が腐り、見るも無残な姿となったイザナミがいるではありませんか。
イザナギは驚いて来た道を逃げるように戻りました。
それに気づいたイザナミ、醜態を見られてしまったことで逆上し、後を追いかけていきます。
(中略)
何とかこの世と黄泉の境目まで戻ることが出来たイザナギ
そこでイザナミの声が聞こえてきます。
「あなたは私との約束を破りましたね、しかもこんな姿を見て・・・
許せません、私はこれから毎日、現世の1000人の人間を殺します。」
イザナギは答えます。
「では、私はこれから1500人、新たな命を産みましょう。」
それからというもの、毎日1000人の人が亡くなり、1500人の人生まれるようになったとさ。


古事記日本書紀に語られるこの話と、生活に欠かせない、水をテーマにした小説がこれ、
水霊です。

水霊(みずち) ミズチ (角川ホラー文庫)


子供の頃、この話を聞いて、切ないやら怖いやらと、やたらに印象に残っているのを
覚えています。
筆者独自の解釈がかなり入ってますが、結構筋がとおってて、なかなかに面白いです。
リング程、読んだ後の不安感は無いのですが、まぁまぁよかったです。


んで、この小説、実写映画版がありました。それがこれ、
水霊 ミズチ [DVD]


もうね、なんていうんでしょう。
はっきり言います、つまらん。
小説とは似ても似つかないものとなっております。
登場人物の性別は変わってるわ、小説版の主人公は最初に死んでるわ・・・
何故このような題名にしたのだろう?と呆れてしまいます。
よく筆者さんも了承したもんだ、ったく。